02/15/06

永小作権5(民法151)(神戸大震災家賃支払い義務)

ところで、日本で、穀類の収穫ゼロの事態が発生する可能性として考えられるようになったのは、洪水被害くらいではないでしょうか。
08/15/05「気象台から気象庁へ(治山治水の必要性1)」のコラムで少し書きましたし、後にも書きますが、日本では元は川幅がホンの10数メートル程度の小さな川の近くで水田を営んでいたのです。
これが徐々に大きな河の近くまで農地が進出していくようになって、洪水被害が起きるようになりますと洪水で稲穂が全部流れてしまう事態が生じるようになります。
台風シーズンは、ちょうど実りの秋の直前ですので、水没するだけで駄目になるのが水害です。
しかし、こうした場合、干拓地と言うか川沿いの地域全体が広域に全滅する訳ですから、地主だけが安閑としているのではなく、みんな揃って政府の炊き出しに頼る事態ですから、小作料どころの話ではなくなるのでしょう。
近隣地主が共同して、こういう場合逆に炊き出しをしてやるくらいですから、無理に小作料を寄越せとはいわないのが普通です。
仮に無茶を言えば、277条で「異なる慣習があればそれに従う」と言うのだから、裁判所に訴えでれば、ここで救済されるから良いでしょうと言うことで、国民をなだめる条文を付加して明治政府は強行したのでしょう。
ただし実際的には、こうした書き方ですと慣習の存在は、小作人側の立証責任となりますが、何百年に一回の大凶作しかない日本では、遠い過去の事例を援用してこれが慣習であると証明するのは困難です
から、実際の救済規定としては、殆ど役に立たなかったでしょう。
永小作権の内容の説明を聞くと、神戸大地震のような場合に、家が壊れて使えなくなっても家賃の支払い義務があったのか、疑問に思う方がいるでしょうから、頭の体操のために説明しておきましょう。
大家の方で家を貸す義務の履行が出来ていないのですから、(貸してもらって初めて家賃支払い義務があるのですから、)借りているほうも家賃を払う義務がないのです。
現在社会では、土地や建て物の利用形態は地上権や小作権によらず、賃貸借契約によるものが殆どですから、契約上の権利になるのです。
そこが物権(永小作権は物権です)と債権(賃貸借契約)の大違いと言うところですが、その辺の説明は理論的で難しいので、いろいろ事例紹介し、(前記賃貸借の法理もその一種です)言葉に耳慣れたところで、そのうち物権と債権と言う別のテーマで説明しましょう。
ただし、地代のほうは、地主に責任がないので、家が地震で壊れていても地代のほうは、発生し続けることになります。



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