02/04/05
児童買春ポルノ禁止法4(立証責任の転換7)刑法28
01/16/05 「児童買春・ポルノ禁止法3(刑法20)事実の錯誤、法律の錯誤」のコラム以下で、これまでの法律の原則では、犯罪成立には故意過失が必要であって、これを検察が立証する必要があることを説明してきました。
児童買春・ポルノ禁止法では、以下に紹介するように被告人側で18歳未満であると知らなかっただけでなく、知らなかったことについて過失がなかったことを証明しなければならなくなったのです。
前置きはこのくらいにして、過失についての児童買春ポルノ禁止法の条文を見ましょう。
児童買春・ポルノ禁止法
(児童の年齢の知情)
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。
ただし、過失がないときは、この限りでない。
この但し書きによって、前記1月16日・・2「児童買春・ポルノ禁止法3(刑法20)故意・過失責任の原則」のコラムで紹介した相談事例では、単に児童が「自分は19歳だとか20才だとか嘘を言った」と言うことだけを証明すれば足りるのではなく、18歳以上と信じるに足る状況の具体的な説明、立証が被告人側に求められ、これに成功しなければ、有罪となる仕組みです。
この法律では、過失がなかったことの立証責任が逆転されたばかりか、(この点は私の立証責任転換論と同じです。)過失で知らなかったときでも、故意があってやったときと同じ刑罰で故意犯として処罰されるのですから、これを事実の錯誤とすればこの点でもイレギュラーです。
法律の錯誤として処罰することを法的に明記したもの(とまでは言えないまでもそれに近い)でしょう。
人が死亡したり、受傷した場合、過失で死に至らしめたり怪我させたのと、故意で死亡させたり怪我させたのとでは、刑が格段に違うし、罪名まで違うのがこれまでの原則でした。
(殺人罪と過失致死罪、傷害と過失傷害罪などごぞんじのとおりです。)
年齢を誤解した場合は、01/16/05 「児童買春・ポルノ禁止法3(刑法20)事実の錯誤、法律の錯誤」以下の連載で紹介した区別で言えば、法律を誤解したのではありませんから、「事実の錯誤」にあたるでしょうが、この条文では法律の錯誤に近い扱いです。
要するに、私の言う判例基準であるところの「処罰の必要性」から考えると、1月16日のコラムの冒頭で紹介したように、経営者が「思い違いでした」と言えばみんな無罪になってしまいますから、判例の解釈で無理に法律の錯誤であるとして有罪にするよりは、法律制定時に決めておくほうが、合理的だと言うわけです。
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