02/12/04

水戸(徳川)光圀は副将軍?1(水戸学の必然性)

漫画(テレビも含めて)では、水戸光圀は副将軍となっていますが、本当でしょうか?
保科氏在世中は、保科氏が将軍の後見人として牛耳っていたのですから、副将軍どころか何の発言権もありませんし、(しかも保科氏よりもずっと年下でした)その後も酒井忠清や堀田正俊などの大老政治が続いていたのです。
江戸時代には、ご一門が幕政に口出しできたことは、4代将軍の後見役保科氏と幕末期の一橋慶喜以外ありませんでした。
保科氏は、文字とおり保科家になっていて、いわば臣下になった身分ですし、慶喜も水戸家から一ツ橋家に養子になった身分だったからこそ可能だったともいえます。
こうした傾向は松平定信も同様です。
彼は吉宗の孫ですが、松平家に養子に行ったので(白河藩の経営で成功した実績も買われました)老中として幕政に参加できたとも言えるのです。
綱吉や家宣も将軍になるまでに、少しでも幕政を経験しておくと言うのではなく、幕政の埒外にあったのですが、一応、領主として領国経営の経験は出来ました。
吉宗も最初3万石、ついで紀伊55万石の領国経営の経験がありましたが、幕政には全く無関係だったのです。
幕政には、ご一門は全く関与せず、将軍と大老・または老中会議、評定所一座または側用人政治しかなかったのです。
こうしたことは、中国でも西洋でも同じで、王族は相応の領地を貰って自分の領地の経営は出来ますが、国政自体は、家臣団によって担われていたのです。
要するに国政と言う観念がなく、〇○家の経営と言う発想でしたから、それぞれの家老ないし家宰が実務を仕切るものであって、ご一門と言えどもそれぞれ自分の家をたてた以上は、よその家の内政に口出し出来ないと言う常識の問題です。
今でも親戚の人が、私の事務所の経営や裁判所へどういう書類を出すかについて口出ししないのと同じです。
もちろん、私も兄弟の経営する会社に口出しすることは有り得ません。
水戸家は、初代から江戸常勤で、任地に行けないままですから、江戸屋敷こそありましたが実質的には部屋住み同様です。
自分の領国経営すら実地経験(今のように電話やコンピュ-ターがあっても、県知事が年に1〜2回お暇を貰って帰るだけでは、政治は出来ませんよ)できなかったのですから、政治的能力が育ちません。
2代目の光圀もすることがなかったでしょう。
現在で言えば、皇族方がが〇○協会の名誉総裁になっているようなものです。
光圀に至っては、その上に隠居まで命じられてしまったので、(隠居処分の詳細は分りませんが、多分江戸城への登城権もなくなった・登城禁止が含まれていたでしょうから蟄居に似たものです。)文字とおりすることがなくなって、歴史研究(それも幕府批判)で憂さ晴らしをしていたのではないでしょうか。
学問と言っても、特に社会系学問は、研究者のおかれた境遇が大きな影響を与えますので、その視点を無視できません。
我々法律家が人権擁護のためには、出身階層を問題にする所以です。
日弁連の司法問題対策委員をしていた15〜20年程前に法曹一元・陪審制の研究部会に参加したことあります。
そのときに、法曹一元と基本的人権擁護に関する例として、インドでは法律家が上流階級出身者ばかりだったので、弁護士が既得権益側に立ってしまい、必ずしも国民の利益を守る役割を果たさなかったという学者の説明を聞いたことがあります。
我が国で戦後次々と公害・消費者その他弱者救済判例が積み上げられてきたのは、司法試験制度が貧乏人向け・即ち法律家の出身階層が弱者であったところによるところが大きいのです。
平成15年6月23日から、司法修習性の給費制に関して、法律家の出身階層問題を連続して取り上げましたので、関心のある方はそのころの連載をお読みください。
徳川光圀の大日本史編纂事業の始まりは、「自分に隠居を命じた幕府って何ほどのもんじゃい!」という立場からの出発ですから、どうしても幕府存立の正統性に疑問符をつけたくなったのでしょう。
それが原動力となっていますので、「幕府よりももっと偉いものがあるぞ!」という「水戸学」天皇中心の歴史観を形成したのは、当然の帰結ともいえます。
200年以上にわたる冷や飯食いが評価されて、明治政府とその系統を引く現政権(明治以降現代までは一つの時代といえるでしょうから、後世になると明治時代、または東京時代とでも言うのでしょうか?)によって、でっち上げ賞賛物語の隆盛で持ち上げられ続けているのですから、報われたと言うべきかも知れませんね。
それとも、死んでから勲章を貰うようで(今は水戸家も藩士も解散してしまいましたので、その子孫が喜んでいるのかな?)意味がないともいえますしね・・・・。
ま、ともかく我々としては、面白おかしくテレビを楽しんでいるだけでよいのですが、私も水戸黄門の話は好きですが、政府の洗脳作戦にいとも簡単に引っかかってしまうことに驚くのです。
こうして、北朝鮮の「偉大なる領袖」「偉大なる将軍様物語」の映画を、北朝鮮人が有り難がって見ているのを笑えない現実があるのです。


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