02/24/03

遺言(特別方式2隔離者) 8(民法41)

第2の特別方式遺言は、伝染病隔離者の遺言です。
これも条文を先ず読んでみて頂きましょう。
民法977条・・・・『伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官1人及び証人1人以上の立会を以て遺言書を作る事ができる。』
この法律が出来たのは、戦後まもなくの昭和22年の事ですから伝染病による隔離と言うのはかなり頻繁にあった事でしょう。
私も子供の頃、近くに有って、親から近付かないように言われて育ちましたが、怖い所と言うイメージを植え付けられていたものです。
いま考えると結核病院だったかなと思います。最近話題になっているのは、らい予防法による隔離ですね。
このように隔離された人が遺言をしょうとするときには、警察官を呼ばなくてはならないと言うのは変ですね。
昨日のコラムに書いたように危急時でなければ、自分が病院や自宅から出られなくとも、公証人に出張してもらって遺言ができるのに、伝染病者に限って、警察官でなければならないと言うのはどうしてでしょう?
公証人の殆ど全部?は、裁判官や検察官の定年退職者(ちなみに、裁判官の定年は、その頃から63歳ですので、当時65才前後の人と言えば、はかなりの老人だったでしょう)が就任しておりますので、伝染病者と接触すると直ぐ病気になってしまうので、この分野に限って職域を守ると言うより押し付けたのでしょうか? 
当時の警官は、今よりもかなり逞しかったでしょうし、警官なら健康に自信があるだろうからそちらに任せようと言う事でしょうか?
警官と言うのは、猿が街に出たと言っては、追い駆け回したり、伝染病患者が遺言すると言っては呼び出されて、その立ち会いまで警官に仕事が廻ってくるのですから、何かと大変な職業ですよ。
自筆証書遺言を自分で書けない人が、伝染病で隔離されると、公証人に出張を頼んでも、『忙しい』とか言ってなかなか来てくれない可能性があります。
その場合、「警察官を呼んで」と言うことでしょうが、おまわりさんも、『喧嘩して、死にそうだ』とか言えば、飛んで来てくれるでしょうが、伝染病の患者が『伝染病に罹って死にそうだから、遺言したいので来てくれ』なんて頼んでも、『えっ?うちのメニュウにそんなの有った?』と言うことになって、簡単には来てくれない可能性があります。
 冗談は別として、この条文は、後の980条で遺言者や立会人の署名押印を要求していますので、伝染病で隔離されているものの、署名はできる程度の能力をもっている事を原則としている事が分かります。
いずれにせよ、自分の名前くらいは書けても、自筆証書遺言を書く能力のない人は、伝染病で隔離されると、簡単には遺言ができなくなりますので、病気になる前に、公正証書遺言を作っておいた方が良いでしょう。 




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