02/21/03

遺言(公正証書)5(民法38)

遺言をするときに公証人が作成する形式の遺言です。
この場合は、立会人2名の署名が必要ですが、公証人が遺言者から聞き取った内容を文書化して、さらに遺言者に読んで聞かせた上で、納得した場合、その文書に自分の氏名を、署名して押印するだけで有効となります。
全文の自書を要求されませんので、複雑な内容の時や膨大な目録が必要なときには合理的です。
その上、公証人役場で50年間保存するので、紛失や、隠匿改ざんされるリスクもなく、安全確実です。
我々弁護士が関与するときにも、かなりの場合、この形式を勧めています。
自筆証書に較べて、保管の心配がない事と、後日有効性の争いが発生するリスクの確率が低い事にメリットがあるからです。
どう言う点からかと言いますと、公証人の作成であると言うだけでは、本人の自筆かどうかが格別正確になると言うのではありません。
役所は公務員仲間としてそう言うでしょうが、実務感覚から言うと、公証人は印鑑証明をもって来た事を中心に本人確認をしているだけですから、替え玉を見破る事は殆ど不可能です。
しかし、公正証書にするには、証人2人が立ち会いますので、その二人の証明力が大きいと思います。
私の場合、遺言者の関係者になってもらうようにしていますので、遺言者死亡後でも、叔父さんが立会人なら替え玉ではないだろうと言うように、信用性を高められて無用な争いを防げるからです。
その点自筆証書や秘密証書では、立会人の制度がありませんので、遺言者が生前から弁護士と知り合いであったと言うような特別な関係がなく、遺言書作成の相談だけを始めて受けたような場合、後日争いになると困難な問題となります。
また自筆証書遺言は、自費だから筆跡で分かるだろうと考える人が多いと思いますが、この頃は、コンピュウタやワープロ等の利用が多くて、生前の自筆は殆ど残っていない事が多いのです。
ワープロ等発達していなかった、昭和49年から50年にかけて、遺言に絡んだ事件を私はあつかったことがあります。
高齢でなくなった事件であったため、遺言書作成頃の残っていた手紙や年賀状は、すべて、お嫁さんや娘が代筆していたため、本人筆跡は皆無でした。
それに元気な50歳頃に書いた文書がたまたま残っていても、80歳頃叉は死亡直前にベッドで書いた場合等とは、筆勢その他が全く違う上に、子供も5〜60歳になってくると、親の同年齢時期の筆跡によく似て来るので訳が分からなくなってしまいます。
遺言書の偽造や改竄の疑いと言うのは、兄弟間で争う事が多いので余計ややこしいのです。




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