02/16/03
任意後見契約に関する法律
これまで成年後見契約として書いて来た事は、法律の名前で言いますと、このコラムの題名になります。
この法律は、平成11年12月8日に成立して、平成12年4月1日から施行されたものです。
この時に、これまで書いて来たように禁治産者から、成年被後見人と言う名称変更等、後見と保佐関係(それまでは準禁治産者と言いました)が一斉に改正されたのです。
この法律では、元気な時に自分の後見人を決めて契約しておく事が出来ます(第2条)。この法律が出来るまでは、本人が事理弁識能力がなくなってから親族などが申し立てる仕組みでしたが、この法律によって、本人がしっかりしているうちに、自分の気に入った人を後見人に選んでおけるようになったのです。
「何事もお上に任せておけば安心』と言う主体性のない人ばかりでなく、『自分の事は自分で決めておきたい』と言う人が、少しづつ増えて来始めたから、こういう法律ができるようになったのでしょう。
契約した本人の事理弁識能力が不十分になったときは、請求によって裁判所が、任意後見監督人を選任する(第4条)。
となっていて、自分が契約で選んだ後見人でも、選んだ本人が事理弁識能力が不十分になった時は、本人に代わってその後見人を監督者する人を、裁判所が選任する事になっています。
監督の中心は、経理報告その他ですが、一定期間ごとに報告しなければなりませんので、後見人は、不正行為を殆ど出来ない仕組みです。
現在私が担当している後見事件は、任意後見人ではなく、惚けてから、子供の請求によって選任されて後見人に就任している従来型の事件ですが、身内が一緒に住んでいて、身の回りの世話をしていましたので、まとまった財産は私が管理して、おむつその他の身の回りの日常的な支出は身内にお任せして、3〜4ヶ月に一回経理報告して頂き、チェックしてその結果を裁判所に報告しています。
この実例から分かるように、もしも、任意後見契約を利用する場合は、上記の例で言えば、身の回りを世話する、娘や身内または、家政婦を後見人にする契約を結んでおいて、身の回りの世話をする人が財産を売り飛ばしたりしないように、後見監督人候補者を、信頼出来る弁護士に頼んでおくのが良いかもしれません。
後見監督人は、裁判所が選任する仕組みですが、被後見人が契約書で候補者を決めておけば尊重される可能性があります。
但し、これからの運用等の経験で上記2つの考えは、変わる可能性がありますのでご了承下さい。
この法律は、平成12年4月に施行されたばかりで、その時すぐに契約した場合でも、未だ3年足らずですから、契約した本人がまだ惚けないでピンピンしている可能性が大です。
意外に備えの良い人は惚け難いものかも?
いづれにせよ、施行後3年足らずでは、運用実例がそれほど多くありませんが、独身のまま老齢化する人が増えてくる、これからは、可能性のある制度だと思います。
或いは、子供がいても、遺産相続は、遺言で決めておくか、何も決めないで子供同志の話し合いに任せるなど、人によっていろいろだとしても、ともかく自分の生きているうちにひとりの子供が自由に処分したり、使い込まないように、後見人に管理を委ねておくと、少なくとも誰が使い込んでしまったという兄弟間の不信を強める争いだけは、防げるでしょう。
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
