02/13/03

子供はいないが、死亡後に財産を遺したいと言う人はまれでしょうが、子供のいる人は、老後の資産を自分の為に100%使いたいのが本心か、子供の為に少しは残してやりたいのが本心か、はたまた、子供に気兼ねしているばかりなのかが、明らかではありません。
これに乗じて子供達は、親の為にお金を使うのは程々にしたがる傾向があります。
昭和50年代の終わり頃の事例ですが、80代のおばあさんが大きな屋敷に一人で住んでいて、なくなった夫の遺産争いが争いがありました。
妻であったお婆さん(母)が住んでいる家屋敷の相続をするのは当然としても、(それでも未だ法定相続分に不足するくらいでした)子供のうちで母と仲の良い子供一人が、遺言で全部貰ってしまうのでないかと言う不安が、事件の争点でした。
お婆さんは戦後夫とともに事業を起こし、夫死亡の頃には海外に通用する特殊な技術を持つ会社になっていたのです。
しっかりした人でしたが、『私が家を相続しても勝手に売ったりする訳がありませんよ』と言うような言訳を頻りにしていました。
私はその時、『お婆さんが、相続する以上は自分の権利だからそんな言訳をする必要がないんです。売りたければ売り飛ばして、南極旅行でも何でもすればいいし、好きな人ができればどう貢ごうと勝手です』と何回言ったか知れない程お婆さんばかりでなく、関係者にも言いました。
子供達はそれぞれ大学教授や社長として、近代的なマンションや家に住んでいるのに、お婆さんは、何千万円と言うお金を別に持っているのに、『私はもう年だから』と家をなおすのさえ遠慮して、昭和3〜40年代の使い難い古い家(暖房と言ってもこたつ程度)にそのまま住んでいました。
その事件は、男の子ばかりでしたので、遺産争いはするものの、誰もお婆さんと同居している訳でもなく、将来面倒を見るとしてもその程度は多寡が知れています。
私の考えでは、屋敷を売ってその頃発達し始めた、介護つきのマンションを買った方がお婆さんの為にいいのではないかと思いましたし、そう言う意見を言った事もありますが、当然息子達はいい返事をしません。
私はこの事件その他の経験を通して、『子供達は、おじいさんやお婆さんの財産を、既得権のように考えて、親が生きているうちから縛りを掛けたがるものだ』と言う偏見?を持つようになりました。
いかにしっかりしていた人でも、老齢化が進むと、次第に立場が弱くなって行きますので、『自分が築いた財産を何に使おうと勝手だ』と、啖呵を切る事も出来なくなっているのが実情であると痛感した次第です。
まして精神状態が正常でなくなって後見人(子供)が自由に入退院を決められるようになると、本末が逆転して、子供の相続権の侵害にならない程度の運用になりかねません。
子供の人格を信用すると言っても、利害反する立場の子供が後見人になったりして管理する事自体問題があるのです。
我々中立の弁護士が後見人になって財産を管理しても、つい相続期待権を持っている子供達の意見に引きづられ勝ちです。
まして、その子供に一任してしまえば、チェックが働きませんので、どうしても子供の立場で物事を考えてしまう事になるのは防げないでしょう。




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