02/12/03

成年後見契約 1(民法30)

また民法の話に戻りましょう。
成年被後見人と言う制度は、繰り返しますように被後見人の権利を守るための制度であって、家の財産を守るための制度ではありません。
平成11年の改正前は禁治産者と言う制度でしたので、禁治産者の財産管理が目的だった事は明らかでした。
それでも実際の運用は家産の流出防止に主眼が置かれていた事は、平成14年12月13日の『民法20』と12月15日の『民法22』のコラムで書いたとおりです。
これが成年被後見と言う定義のはっきりしない名称になった事から、却って時代、時代に応じた広がりを持てるようになったとも言えるでしょう。
私は、これからの後見制度の役割としては、単なる財産管理を目的とするだけでなく、被後見人の権利・基本的人権全体を守るための制度と位置付けて考えるべきだと思います。
今でも実際の運用は、本人の財産管理どころか、子供同志の遺産相続期待権確保の為に、別居している子供から、同居している長男または次男や姉が親の財産を隠匿したり処分しないようにと言う目的の申請が多いのです。
しかし、これからは一歩進めて本人自身の財産確保、更に2歩進めて、本人の人権確保(と言うと難しいですが、要は人間らしい待遇を受ける事)の為の制度にしたいと思います。
これからは、子供のいない人が多くなって来ますので、何も私が、頑張らなくとも自然に自己保身のための成年後見人申請が増えてくると思います。
そうなると必然的に、被後見人の人権確保が重要なテーマになってくると思うのです。
一時的な精神障害でなく不可逆的な痴呆の進行を前提とすると、将来のために財産を残して行く結果となる財産確保を目的とするのでは、不十分である事は明らかです。
正常に戻る事が100%考えられない以上は、将来(すなわち死亡後?)財産が残っていても、被後見人本人にとっては何にもなりません。
生きている間に、持てる財産を使って人間的な待遇を十分に受ける事が大きな関心となるべきでしょう。


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