ドルの将来は、「弗」か?
ところで、「弗」は米紙幣の単位であるドルの漢字表記に使っていますので、読者の中の若い人は、これをドルと誤解していると前々回紹介した矛盾に関する漢文は意味不明になってしまうので、少し説明しておきましょう。
このコラムの読者層は、漢文を読める方が、大多数だと想定していますが、新人類も読んでいると思いますので、念のため書いておきますと、最後の「其人弗能応也。」の「弗」は、当然ながら韓非子の時代にはドルはありませんので、ドルの意味ではありません。
ここでは、「・・ず」という否定形の動詞です。
最後の文章は、「応(コタ)フルことあたわず」または・・[ざりき](過去形)と読みます。
明治人は米ドルを漢字で表記するときに、英語表示$の形に似ているから「弗」を当てたようですが、それにしても当時の知的階層にとっては漢文の素養が教養のすべてのような時代です。
漢文で強い否定形を表すこの漢字の用法を知らなかったはずがないのですから、敢えてドルに否定形を当てる真意は「これからドルを持っていても意味がない」という21世紀を見据えた先見の意味で、付けておいたのかも知れません?
そういえば、西洋列強の国名として英仏独伊露に当てた漢字よりも、アメリカに当てた漢字は、亜流の亜で始まるなど意外に格下・・トルコ(土耳古)やエジプト(埃及)並み・の2流扱いです。
英国の英は言うまでもない立派な漢字ですし、独逸にいたっては一人優れている(逸材の逸)と言うものです。
仏蘭西は文化の香りを意味するものでしょうし、伊太利も墺太利(オーストリア)もそれぞれいい漢字を使っているのです。
(伊とは伊達者に通じるイメージでしょうし、墺太利はイタリーの奥まったところあるいは、欧州の奥座敷と言う意味です。)
その上、英吉利は2番目の漢字もめでたい感じですが、亜米利加は、米・・物産が豊かという程度で道義的意味が乏しいのです。
中国では、アメリカの漢字表記を美国として、うるわしき国としていることを以前紹介しましたが大違いです。
明治初期には、幕末に無理に開港を迫られたアメリカに対する、国民的反感が下敷きになって、成り上がり者と言う軽蔑感があったのでしょうか?
そう言えば、アメリカにも岩倉視察団は行ってますが、感嘆はしていますが、欧州ほどの学ぶべき対象にはしていないのです。
話を防御材と木の関係に戻しますと、この楯という漢字は今でも木偏を使っているように、中国でも昔から移動用防具の材質は、運搬に軽くてしかも加工の簡単な木材中心で作っていたのでしょう
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
