01/26/08

ひさぐとは?(矛盾2)

鬻とは難しい漢字ですが、分解すれば簡単で、粥の下に隔という字の右側がある(鍋で煮る意味です)だけです。

高校時代に「楯と矛を『ひさぐ』ものあり」と習いました。

ここで「ひさぐ」者としたのは、同じ物を売るのにも、粥をぐつぐつ煮るようにして、生活の糧にしていたという程度の意味でしょう。

「ひさぐ」などと言う日本語自体をあまり聞いたことがない方が多いでしょうが、文学的表現?では「春をひさぐ」言う言い回しを聴かれた人がいるかも知れません。

上記のように、漢字の成り立ちからいって、「ひさぐ」のは、同じく物や春を売る人であっても 生活感のあふれる表現ですから、苦し紛れにやっている人のイメージで・業として、飽くなき利潤の積み上げを図る商人のイメージではありません。

これに対して、近代的な意味の利潤追求を求める商人を古くから漢文では「賈人」と言うのですが、ひさぐのはそこまで行かない状態を言うのでしょう。

楯と矛を売って、生活をしていると言うのは、これを売るのを商売にしているのとどう違うのか?と言うことですが、今なら、企業的にやっているのと自宅の軒先でちょっと売っているのとの違いと言うことでしょうが、漢字が出来たころは、そのような組織的商人が発達していなかったとすれば、この漢字の区別は不思議です。

ただし、中国古代文明は農業国家として始まったのではなく、黄河上流域で西域からの文物の受け入れ口として始まったので、商業国家から始まっているという考え方を、03/04/06「商から農への転換9・・・中国の場合1]前後のコラムで書きましたが、その考えからすると、漢字の出来始めの当初・・農業よりも先にそのころから結構企業的商人が発達していたのかもしれません。

元々そのシリーズでは、中国の王様は商人の親方から始まってると言う前提のシリーズでした。

われわれ日本人には、白村江の敗戦以降農業期が長かったので、農業が先にあって、その次に商業が発達すると言う農業社会の先入観が強すぎるのかもしれません。

同じ人間が「よく通さざるなき堅い楯」と何でも通してしまう鋭利な矛を自慢していたので、「その矛でその楯をついたらどうなる?」と客に聞かれて絶句する場面です。

この矛盾の話は実際にあった話ではなく、儒家の思想の矛盾をこれに喩えて批判した論文らしいですが、この矛盾した関係がよく出来ているので、ここだけが独立して有名になっているのです。

ついでに、「子曰く・・・」と論語などに出てくる言い回しから、「子」とは偉い人だけを言うのかと誤解している人が多いでしょうが、ここでの「子」とは、生活に窮して売っているような庶民に対する呼びかけですから、孔子のような偉い人ではなく、単に「あなた」と言う程度の意味でしょう。

以上のように「子」にも、古代からいろいろな意味があったのです。

男女別でいうと、元々は男性のみに使われていたのですが、(このために男女を合わせるときには帰国「子女」などといいます。)わが国では徐々に女性も含めて使われるようになっています。

明治中ごろころまでは、女性の名前には、タツとかツネなどが多かったのですが、今では逆に「・・・子」と言うと女性専用に入れ替わっているとさえ言えるでしょう。

 



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