01/15/07

国債と紙幣2(偽造のリスク)

ところで、印刷に限らず、現在の各種認証システムもそうですが、技術と言うものは、どんなに高度になっても、その社会の水準以上のことはないので、大量生産する以上は、大量の同水準の技術者層の裾野の広がりがなければできません。
(人件費その他安く上げるためには・・・一寸した訓練で出来る程度になります)
と言うことは、刑事罰を気にしないで偽造する気になれば、偽造できる技術者層がいっぱいいる社会であるのは、仕方がないのです。
貨幣偽造を防ぐためには、金銀銅などの含有率を高めて、そのもの自体の価値が券面表示額に比較して比較的に高ければ、偽造コストが合わないと言う段階で、偽造が出来なくなるので、古来から、こうした原理で運用されていたのです。
含有率が下がってくると・・・・たとえば500円硬貨が2〜3円で造れるとなれば、偽造の誘惑が高まるのです。
今の1円玉は、材料も安いものを使っているのですが、これを製造するのに1円以上かかっているとも言われますので、これを偽造する人はでません。
これに対し、昭和天皇在位記念硬貨(10万円だったかな?)などは、材料費の割りに高過ぎるので(政府は、ぼろもうけしようとしたのです)、海外などで偽造されるとお手上げだろうと言われていました。
ところが紙幣になると、例えば1万円札や5000円札の紙切れとしての価値が1万円や5000円になるわけがないので、偽造したら大もうけと言う発想が生まれてくるので、偽造のリスクが高まるのです。
そうなると悪貨か良貨かと言う古来の基準は成り立たなくなるので、後は技術力の差しかなくなってきたのです。
(グ−テンベルグ・活版印刷術の発明・・聖書の印刷は、ルネッサンス時代・1447年でしたが・・数百年単位の時間では、文字だけの印刷と違い多色刷りの複雑な紙幣を印刷出来るものではないのです。)
こう言う意味からも、印刷術と紙や図柄の製造技術の総合的能力が必要ですので、簡単には紙幣発行が出来なかったのでしょう。
ところが高度な技術と言うだけでは、いくら高度化しても前回書いたように、その社会の技術水準を越えられませんから、そこで重要性が出て来たのは、巨額の経費がかかるかどうかと言うことが、重要になって来ます。
(政府は大規模に印刷するので、規模の利益があります)
紙幣製造工程が複雑で、装置も膨大なものが必要になれば、偽造するには、大掛かりな工場設備を備えなければならなくなります。
こうなると、準備段階で発覚しやすいのと、そのような大規模な資金が用意出来ない・・更には、用意してみようと言う人がたまにいても、準備に時間がかかっているうちに発覚したらパーですから、リスキー過ぎて誰もやる気が起きない・・出資する人がいないところに抑止力があるのです。
こうなると、半ば公然と準備できる外国・・敵対国だけが、最も可能性が出てきます。
これが、現在の北朝鮮によるドル紙幣の偽造問題の基礎です。



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