01/25/05

刑罰の緩衝材としての勾留1(刑事訴訟法14)弁護実務1

ところで、わが国の刑事処罰は、01/19/05「異民族支配と陪審2」のコラムで少し触れましたが、アメリカや諸外国に比べて全体的に軽く、例えば初犯の場合、強盗や殺人などの重大犯罪以外は原則執行猶予になって刑務所に行かなくてすむ運用です。
そうなると、例えば死亡事故などでは運転手に過失のある場合に、ある程度の処罰を求める国民感情に反しますので、逮捕+拘留で、20数日あるいは、裁判終了までの数ヶ月間身柄拘束されている実質的な刑の先取りがあることで、国民感情を満足させている実情(機能)を無視できません。
こうした身柄拘束の実質があるので、執行猶予判決が出やすい面もあるのです。
もしも運転手が逃亡するわけがない、証拠隠滅する訳もないという理論だけで、みんな在宅事件になると、現在では執行猶予になって刑務所に入らないで済んでいる多くの事件で、却って実刑にしなければならなくなってしまうでしょう。
実際に私たちも、事件の見通しが執行猶予か実刑かぎりぎりの場合、あえて保釈請求せずに公判に臨み、これだけの期間「中に入ったままで、十分反省している」と訴えて執行猶予を獲得する場合があります。
昨年私が扱った事例では、仕事中の午前11時ころからワンカップの焼酎を飲みながら荷物の積み下ろしをしていて、(車に戻っては一口潤していたのです。)荷物の積み下ろしが終わって帰り際に残っていた焼酎を一気に飲み干して、車で出発したところ眠気がさしてきて、赤信号見落としで、横断者をはねた事件がありました。
この事件では、保釈で出られないこともないが、実刑になる可能性が高いので、保釈を請求せずに数ヶ月入っていて、十分反省したと言う主張で行こうという弁護戦略で臨み、際どいところで執行猶予になったことがあります。
弁護士というのは、口先で人権がどうのと言いながら、やってることが違うじゃないかと思う方が多いと思いますが、弁護士は実務家であって、日ごろの主張との関連性は問題にせず、(勿論違法なことや道義に反したことまではしません。)ともかくそのときの依頼者にとって最上の結果を導くのが職務ですから、こういうことになるのです。
こうした積み重ねが、(23日のコラムで書きましたが、個別具体的妥当性の追及です。)観念論に陥いらない実務家のメリット・信用の基礎でもあるでしょう。



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