01/20/05


多様な価値観と法治国家1(憲法99)

19日・・・1のコラムで法理論の発達しなかった後進国で、しかも異民族支配のあったイギリスで同輩による裁判・すなわち、陪審制が発達したと書きました。
価値観の分裂している多民族社会では、
   「この程度の事件」
であれば
   「ともかくこの程度は処罰しなければならない」
と言う暗黙の社会合意がありえませんから、予め(民族・利害集団)代表が合意した憲法・法律と言う決まりを作って、それに基づく裁判しか出来ないのです。
裁判所のよりどころは、まさに憲法と法律、良心しかないことになるのでしょう。
まさに、法律・契約が全ての社会と言われる所以です。
西洋法を継受しているわが国の憲法は、まさにこのとおりの条文をおいています。
憲法を見ましょう。

憲法
第76条 すべて司法権は、・・以下省略
2・・・・・・省略
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

こうしてみると、法治国家・法の支配というのは、多民族・価値観の分裂した社会或いは、多国間で交流する国際社会でこそ必要なルールであって、社会契約論の発生する土壌でもあったことが分ります。
わが国のように、価値観の共有される社会では、原始時代から社会契約など発達する余地がなく、暗黙の合意・今の言葉でいえば、「社会の総意」コンセンサスで全てなり立っていたのです。
「総意」といえば、憲法にも使われていて、有名ですので紹介しておきましょう。

憲法
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

総意に基づいて、と言いますが、どのようにして総意が分ったのか不思議ですね。
憲法のどの教科書にも書いていない(こんな疑問を持つ方がおかしいと学者が言うでしょう?)と思いますが、わが国は世論調査や選挙をしなくとも、仲間内社会ですから総意がピン!と分かったと言うのかも知れません。
現在では、大きな組織、例えば弁護士会では、規約を造りますが、会員はそれを滅多に見ることがなくて、何となく暗黙の合意で会が動いていくのです。
我が法律事務所も就業規則などなくとも、みんな一生懸命働いて円満に過ぎていきます。
いろんな組織にはそれぞれ規約や定款や規則・契約書がありますが、何かあったときに、蔵から出してみると言う程度の扱いです。
言い過ぎかもしれませんが、法の支配とか法治国家といっても、所詮は借り物でしかないのかもしれません。
ハイカラな人が舶来ものにかぶれる?のと同じかも知れませんね。



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