01/08/04
同姓娶らず 2(律令時代は?)
そこで、牧英正氏外編の本ではどうなっているか見たところ、直系尊属の妻妾との婚姻を処罰する規定だけがあるが、同姓娶らずの原理は削除したかどうかはっきりしないと書いてあります。
ただし、直系尊属の妻妾との婚姻を処罰する規定とは何かが、牧氏外篇の本では条文が引用されていませんので、推測するしかありません。
中国法制史の文献などを参考にすると、もしも父祖ら尊属を告言する罪などのグループである「不孝」の一部にある「奸父祖妾」を前提としているのであれば、これを和姦・密通を前提とする婚姻禁止規定として読むのは無理があります。
中国では、近親間の和姦、密通を表現する法律用語は「内乱」(内々で乱れている)と表現し、別に後記の十悪中の10番目に内乱の罪があります。
「奸」はわが国の強姦を意味する法律用語に使い分けているのですから、「奸父祖妾」の不幸の罪と言うのは、父祖の妾を強姦した場合ですから、長幼の序を重視している儒教道徳からは、普通の強姦よりも重く処罰されるのは当たり前です。
そのうえ、この条文は「不孝」の罪の中に設けられたもので、婚姻禁止規定とは直接の関係がありません。
「不孝」の罪とは、唐律の基本概念である「十悪八逆」中の十逆の7番目に規定されている尊属に対する加重された罪のことです。(ただし、牧氏外篇の本では八逆の一つと紹介されていますが、中国法専門家の意見で書きました。)
細かいですが1部紹介しておきますと、前記「奸父祖妾」の他に子孫は父母等を罵言するだけで「絞殺」、親を告言すると絞刑に処せられるなど厳しいものでした。
律令では、婚姻禁止規定は別に定められていた可能性があるのです。
律令も完全には残っていないらしく、真偽は今後の考古学的研究に待たねばならないようです
中国では、「およそ、同姓婚を為す者は、主婚者と男女各々杖60離異せしむ」となどと、別に規定しているのが普通です。
ちなみに、養老律令の戸令で定まっている婚主または主婚者と言うのは、結婚責任者のことで、女性方の祖父母、父母、伯叔父母の順が決まっていました。
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