01/02/04
ハレとケ(初詣1)
御正月は「ハレとケ」のけじめの大横綱ですので、この機会に「ハレとケ」について少し考えてみたいと思います。
日本古来のハレとケの行動様式は、消費関係に限ると、急速に廃れたように思います。
廃れたというよりも、ハレだらけになったと言えるかもしれません。
新しい洋服や靴を、入学式やハレの日に併せて、新調するのではなく、必要な時期にまたはお金のあるときに買い、必要なときに利用する生活が行き渡ってしまったのです。
食品その他の季節感がなくなったといわれて久しいですが、冷暖房・温室栽培、輸入、貯蔵技術などの発達で、食品もいつでも欲しいときに食べられるというのでは、御正月に限った喜びがなくなるのは当然です。
稲作中心の時代には、秋の収穫まで楽しみごとは待たねばならず、我慢という習慣もつきました。
1年間も我慢した後の収穫や消費の喜びは、大きかったでしょう。(おのずから、メリハリがつきますよ)
商品経済が発達しても、消費者・人口の中心が農民(武士も経済的には、米の販売収入に頼っていました。)であった時代には、収穫後換金までのタイムラグを経た節季払い)=年の暮れの支払い・お礼(御歳暮)とその対としての年の暮れの集金ないし、年末手当て、などの商習慣が生まれ、師走の忙しさが生まれたのです。
業者にとっては、年末に集金したお金で、自分の支払いも年末中にしなければならないのですから、やり繰り算段は目の回るような切迫感だった筈です。
私達弁護士の関係する地代についても、古い契約はほとんど年払契約でしたが、ここ何十年かの借地契約は、すべて月払いに変わっています。
産業構造の変化が、収入時期の多様化を生み出し、節季払いを無くし、日常的な消費を可能にし、他方で、住宅ローンに始まって、月賦・カードの発達は収入時期のくびきさえ取り外してしまいました。
ここまでは単なる行動様式の話ですが、工場製品も、生産物が出来上がるまでには時間がかかるのですが、ベルとコンベヤーから、のべつくまなしに吐き出されたり、農産物も季節に拘わらず出荷されて、スーパーに並ぶ時代では、生産までの待ち時間がなくなったかのような印象になります。
他方で消費者信用の発達で、消費する為に自分の給料日まで待つ必要が、目に見え難くなって来つつあるのです。
こうして収入、消費に関しては、外的要因によるメリハリがなくなって来ましたので、精神上の問題として、自分でメリハリをつける能力が必要な?社会になったのではないかというのが今回のコラムの関心です。
古くは禅、近代では登山などを、自己鍛錬回復の試みと評価できるでしょうが、そうした自律心の強い人は良いのですが、弱い庶民はどうすればいいのでしょうか?
バブル以降、消費不況といいながらも、世界的ブランド品と100円ショップの両極が売れているのは、ブランド品の購入は「ハレ」、デイスカウントストア(100円ショップ)で買うのは「ケ」という消費者の理の結果と解釈されているようです。
経済学者は、そういう分析をしていればいいでしょうが、消費者の立場で考える私の関心は、そんな程度のごまかし的な自己防衛だけで、消費者の精神力が持つのかということです。
サラ金事件で私のところに来るのは、生活苦が大半だと以前紹介しましたが、20代、最近では30代でも、とめどもなくだらしない消費行動が散見されるようになっているのです。
これからは、物量の奔流に押し流される社会的な病人が増えてくるのではないでしょうか?
ともあれ、商売人としては、どうせならハレの行事が多いほうがいいので、宗教にお構いなしに、クリスマス、バレンタインなど行事化できるものは、何でもしようという時代です。
デイズニ−ランドは、これを毎日やっているのですから、その象徴的商売と言えるでしょう。
こうして、供給側の立場からは、各種行事そのものは盛んになる一方とも言えます。
しかし、ハレの行事が増えるばかりになると、食傷気味になるのも人情です。
ベートーベンの音楽も、クライマックスの前には静かな部分があってこそ良いのです。
結婚式も、余りにも機会が多すぎて、招ばれる方が食傷気味になっています。
十分な満足を味わうには、メリ、空腹、待望の時間が必要なようです。
正月の機会に、ハレとケについて感じていることを書いてみましたが、正月のコラムでは書ききれませんので、この問題は別の機会にしたいと思います。
我が家については、それなりに、メリとハリのあった1年でしたので、ハレの御正月を祝って、御節料理を用意し、歩いて5〜6分のところにある登渡(とわたり)神社にお参りしました。
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