01/18/03

55年体制 7(税制 2)

最後に税率について書いておきましょう。
法人税は所得が1000億円でも10万円でも、原則一律に決まっています。
そこで八百屋さんがサラリーマンになろうとして、法人化したとすると、トヨタ自動車と同じ税率で税金がかかる仕組みですし、会計帳簿を調整しなければなりませんので、税理士に頼んだり、かなりコストがかかる仕組みになっています。
このように個人事業主が法人化すると、煩雑な帳簿作成義務が待っていて、しかもこれほど所得格差の大きいグループがないのに、1兆円企業も月60万円の売り上げのラーメン屋も同じ税率となっています。
ところが個人事業主に関しては、累進税率ですので、働けば働くほど税率が上がっていきます。
同じ事は、資本所得そのものである、利子配当課税、不動譲渡所得税についても言えます。こうした分野こそ、累進課税すべきなのに、一律課税になっていて、小規模参入者にひどく不利になっています。
長島や松井選手みたいに、個人的な資質と、超人的な努力で、人一倍稼ぐと御褒美に税率が下がるのではなくて、懲罰的に税率が上がってしまい、最近少し下がりましたが4〜5年前までは、3000万をこえると、75%(70%プラスジギョウゼイ5%)もの税率になる仕組みでした。
長島や松井は特別として、自分のからだを使って働いている限り、個人事業主がいくら頑張っても、かなり儲かっている優秀な人でも、上手い具合に課税対象が3000万前後で終わってしまうのです。
プロ野球の平均的レギュラーでも相撲サンでも同じ事です。
殆どの人は、血を吐く程働いても、課税対象が8000万も1億も稼ぐ事はできません。
ですから、本来、『人一倍の努力には報いて、不労所得者やそれによる高額所得者から高く税金を取ると言う累進税率の理念』に従うならば、1億あたりまでフラットにして、そこから以上を累進的に上がる仕組みにすべきでしょう。
個人の勤労だけでは絶対にそこまで働けませんので、資本運用の収入の場合にだけ、累進課税する理念にも合致し、合理的です。
ところが、3000万円が最高税率でそれ以降は同じと言う仕組みですと、担税力に着目したと言うよりは、『資本家でもないのに、一定以上の収入が許せない、収入の殆どを召し上げます。』と言う嫌がらせみたいな効果にしかなりません。
昔、清盛の父忠盛が、昇殿を許された時に、公卿から様々な嫌がらせを受けたのは有名ですが、まさに、資本家仲間に簡単には参加させないと言う嫌がらせの様です。
平家物語に倣えば、資本家(公卿)から見れば『労働者(武士)の分際が、いくら働いても資本家(公卿)の豪華な生活の仲間入りは許せない、』労働組合(武士層)から見れば『ある程度能力差は認めても、自分達の手の届かない所(公卿の真似事)までの手取り収入は許せない』という労使一致したやっかみ精神の結果出来上がった税制ではないかと疑いたくなりますね。
憲法の平等原理は、能力差による差別は合理的な差別として許されるという解釈です。
殆どの人は、血を吐く程働いても、課税対象が8000万も1億も稼ぐ事はできません。
本来その意味からは、努力して差がつく程度までは、累進課税せず、それ以上の額になったら累進すべきなのです。
現在の税制は、その逆で、努力や能力で差がつく所までは極端な累進課税ですから、能力差がつくのを極力妨害して、資本所得は全く累進課税しない仕組みです。
これでは程々しか努力する人がいなくなってしまうのは仕方ないですね。
まさに、『適当に働けば良いよ』と言う植木等の『スーダラ節』を税制が後押ししていたのです。
従業員は、残業すれば、割り増し賃金が保障されているのに、個人事業主が晩御飯も食べないで働いた場合、昼間と同じ単価のお金を貰ったら、トータルの税率上昇分だけ、時間当たり収入が減ってしまう事になるのです。




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