01/16/03

55年体制 5(保険制度3)

ここで、公的な保険の大きな仕組みについて説明しておきましょう。
大きく分けると、個人事業主や無職の人が加入する国民健康保険と、雇われ人が加入する社会保険の2種類があります。
公務員関係者の為には、別に共済と言う保険が用意されていますが、これは仲間内だけを組合員にするものですから次に述べる、社会保険の特別グループである大手企業の健康保険組合と本質が同じと言って良いでしょう。
私が問題としたいのは、社会保険加入義務者は、一定の団体を結成すると、自分達だけで保険団体(健康保険組合と言います。
)を作って社会保険を抜け出す事ができる仕組みを作った事にあります。
組合を結成する資格要件は、おおむね、大手企業が合致するようになっています。
そうなると大手企業は殆ど全部、健保組合を結成して抜けてしまったのです。
保険の原理は、いろんな人が集まってリスクを分散させる事にあるのですが、賃金水準が高くて保険料負担額が多いばかりか、大卒新人の若手ばかり採用しているので(その上健康診断までして病気持ちの人は採用しないのです)滅多に病気しない健康な大手社員が、まず社会保険から抜けてしまいました。
前記のとおり各種公務員・・これも大企業従業員に劣らず、健康で高賃金です・・も法的に初めから別の共済組合の結成が認められています。
こうして出来上がった健康保険組合や、公務員の共済組合は、超黒字も良いとこです。
何と言っても、病気が増えてくる55歳になると定年という事で退職させ(最近は60歳に延長しましたが本質は同じです。
)そのまま働かない人は国保に、中小企業でさらに働く人は社会保険に再加入する仕組みを作ったのです。
これでは、国保加入者は、わずかな自営業者の外は、無職老人が殆どとなりますから赤字になるのは当たり前です。
病院通いを毎日して保険料の負担をしない老人が殆どでは、個人事業主がいくら負担しても持ちませんよ。
他方社会保険はどうでしょうか? 高賃金の大手企業社員が抜けてしまい、大手に就職出来ない弱者や、運悪く病気になって大手企業を中途退職して中小企業に再就職した人や、その他の社会的弱者(と言うものは健康的にも。
まれない人が多いのです。
)ばかりで構成されている社会保険は、国保ほどではないまでも、恒常的な赤字体質になる運命にあります。
大手企業従業員や各種公務員は、この制度的に保障された超黒字を良い事に、あちこちに豪華な保養所(いまでは、そんなに有り難くないですが、1955〜6〜70年代には物凄く価値のあるものでしたよ!)テニスコート、野球場、体育館等のスポーツ施設、果ては、健康管理と称してフィットネスクラブみたいなものまで作って、殆ど無料で組合員に(社員と殆ど同義です。
)に利用させ、勿論治療費は全額無料どころか、いろんな健康グッズ(と称して各種商品)が無料で配付されていました。
この矛盾(私に言わせれば不正そのもの)が激化して放置できなくなった昭和の57年には、遂に自社2大政党も無視出来なくなって、70歳以上の老人だけ国保から切り離す老人保健法を成立させました。
しかし、この改正は、55年体制の不当性を誰も議論せず、勿論マスコミは大手企業経営者と大手企業従業員ばかりですから、そう言う指摘は一切しないどころか黙殺します。
国保の赤字対策としてその制度的原因を糾明する事なく、不払い者が増加しているなどと言う末節的なキャンペインで終わったのです。
それでも、国保の赤字の原因が、私の指摘するような所にある事は無視出来なくなって、健保組合や共済組合(すなわち若くて収入の多い人=大企業労働者+官公労・労働組合員=社会党支持者)社会保険(零細企業従業員)からも応分の負担を求めるようになったのです。
老人の保険料を国民全部で負担すべしと言う当たり前の改正ですが、それでも60歳から70歳までは、従来とおり国保で面倒みろと言うのですからきついですよ。
このように保険制度を見ると、自社2大政党制下では、農民や、大規模組織の労働者とその経営者ばかりが得をし、小規模経営者とその従業員が割を食うシステムだったのがわかるでしょう。




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