01/09/03

ゆとり 3

マスコミが、年金を将来払えそうもないとか、不景気だ,不景気だと言うものだから、働かなくていい筈の老人まで、『もっと働かなければ』と言う話をします。
私は、供給・労働力過剰で不景気になっているのだから、働き手が増えたのではいつまでたっても不景気が終わらないと言いますと、『そんな事を言っても、子供はフリータ−でしっかりしないから、まだ働かなくてはならない』と言います。
若者は、働きたくとも老人が何時までも仕事をしている為に、働く職場がありません。
鶏が先か、卵が先かと言う議論に似ています。
こうした問題は、個々人が解決出来ない性質のものですから、政治やマスコミの出番だと思うのですが、彼等は逆に年金が払えないからもっと働けと主張しています。
前回のコラムで書いたように、日本では恒常的に労働力の参入(人口だけでなく時間軸で)が増えるばかりか、生産性も向上し続けていますが、恒常的に貿易黒字を続ける訳には行きません。
老人も働けと言うならば、江戸時代のように、国民が10時頃から2時頃まで働いたら良い制度にすべきでしょう。
勿論一斉でなくとも4交代でも5交代でも、ともかく労働時間を思いきって減らさなければ生産過剰はなくなりませんよ。
それ以外には国内消費増しかありませんが、老人大国になってくると、消費傾向が変わっているのに商売人は、『不景気イコール値下げ』と言う発想しかないのは残念な事です。
腹一杯食べられる豊かさ・大量消費から、上質なものを少量消費へと言うのが一定の豊かさに行き着いた場合のですから、例えば安くてまずい刺身を多く食べるよりも、上質な刺身を少し食べたいのが豊かな社会の消費者でしょう。
まして我国は老人や中高年の比重が多くなっているのです。
衣類も、家財道具もすべて、ある程度行き渡っていますので消費者が求めているのは、安い粗悪品ではありません。
勿論世の中には例外はありますが、私は、社会の大方の傾向を書いていますので誤解の無いようにして下さい。
ところが商人は、この傾向に反して、質的に1〜2割の価値しかないものを50%値下げなどと言って売っているのがバブル崩壊後の趨勢です。
そして、売れない、売れないと嘆いています。
値下げの原理を考えますと、原材料や職人の手間賃を半分(いい物を作れない職人にやらせる)にしてもその他の固定経費が同時に変わりませんので、(遅行性があります)せいぜい、売り値は1〜2割程度にしか下げられません。
そうすると消費者は、半分の価値のものを1〜2割値下げで買わされるのですから、いやになっちゃいますよ。
これでは実質値上げそのものです。
繰り返すように国民は、今や飢えていませんので、良いもの(個性のあるもの)を欲しいのに、粗悪品を実質値上げされたのでは、買う意欲が萎えてしまうのは当たり前です。
不景気なのは、お金がなくて売れないのではなく、(お金はあまってますよ)在り来たりのものは既にあるし、熱海のように、団体客用のビルばかり立ち並んだ所に遊びに行きたくないだけです。
客が上質なものを求めているのに、商売人が品質低下競争をしているのでは、日銀が、お札を大量発行したり、金利を限り無く0に近く引き下げても、タンス預金になるだけで景気が良くならないのと同根です。
都心でヨーロッパのブランドショップだけが鼻息が荒いのはその結果と言えるでしょう。
我国は、ここが先進国として生き残るかどうかの分かれ道ではないでしょうか?
売れないからと安物の仕入れに狂奔するのか、世界の都として生き残る為に、手の込んだ上質ものを作り上げて行くのかが、問われているのです。




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